チョコレートに認知症予防の効果はない?」というショッキングなニュースです。

カカオフラバノールが含まれていないチョコレートを食べても、健康効果は期待できないという趣旨の記事。

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チョコレートに含まれるカカオフラバノールには、血管をリラックスさせて血液の循環を良くし、記憶低下を抑制する働きがある。そのため、チョコレートを食べれば認知症を予防できるといわれている。しかし、コロンビア大学のアルツハイマー病研究センターの研究によれば、チョコレートを食べると認知力が向上するというのはどうやら間違いであるようだ。

チョコレートを製造する過程でカカオビーンズの加熱や発酵が行われるが、その結果フラバノールの大半が消滅してしまうからなのだそうだ。つまり、カカオフラバノールの有効性を活かしたチョコレートを作るのは極めて難しいということになる。カカオの割合が高いダークチョコレートだからといって、フラバノールの含有量も高いというわけでもないという。


以下、「Chocolate health myth dissolves(チョコレートの健康神話が崩れる)」という記事の内容。


ニューヨーク・タイムズ紙は、昨年の秋、 「記憶力改善には、チョコレートを検討すべき」 という見出しを踊らせ、各報道機関から注目されました。


アシスタントデスクが、私にクリップ記事を差し出し、面白いかと訪ねました。 それは、確かに興味深い記事でした。 なぜなら、ほとんどのニュース編集者が望まないような内容だったからです。

全くチョコレートとは関係ない研究に関するものだったので、興味をそそられました。 研究者が研究している化合物のほとんどが、チョコレートにはどれも含まれていなかったのです。

カカオ豆の健康的な成分を探し当てる研究で、大部分はチョコレート業界がスポンサーになって行われている研究なので、皮肉と言えます。


チョコレートを食べる食生活が健康に寄与しているというパナマ部族の追跡調査は、もっと慎重に内容を検証する必要があります。 この研究で、著者らは、調査結果に基づいて、すぐに多くのチョコレートを食べ始めるべきではないと注意も促しました。

「残念ながら、これは簡単に実践できるニュースではありません」

「医師として、私は、チョコレートを食べるべきと言う見出しは少し心配です」

と、ニューヨークのコロンビア大学(Columbia University)アルツハイマー病研究センター(Alzheimer's Disease Research Center)長、で筆頭研究員のスコット・スモール博士(Dr. Scott Small)は述べました。


チョコレートがキャンディーからスーパーフードに変貌する、これらの見出しは、チョコレートと同じくらい魅力的です。

科学者たちは、ココアフラバノールとして知られている壊れやすい分子に的を絞っています。 研究は、ココアフラバノールが、血管を弛緩、血流を改善することを示唆しています。 ココアフラバノールには、スモール博士の研究で発見されたように、年齢に伴う記憶喪失に関与する脳の一部を活性化する働きがあることもわかりました。

しかし、カカオ豆のフラバノールは、加熱して、発酵やチョコレートに加工した段階で、ほとんど消えて無くなります。 言い換えれば、チョコレートを作ることは、健康に寄与する重要な成分を破壊することであると言えます。

そのため、スモール博士の記憶に関する研究は、マース社(Mars Inc.)が研究目的で用意した高濃縮粉末を使用して行われました。

「それは、市販製品ではありません」

「今日、平均的な消費者が、健康効果を得るために必要とされるフラバノール濃度レベルを達成するのは、実際には、とても難しいです」

と、マース社(Mars Inc.)の研究監督、キャサリン・クイック・ウリベ(Catherine Kwik-Uribe)氏は述べています。

これはダークチョコレートについても同様です。

ココアの割合が高いことが、必ずしもフラバノールレベルが高いことを意味するものではありません。

そして、フラバノール含有量を評価する国際的な基準はありません。


他の問題は味です。

フラバノールは苦いです。

研究者は、フラバノール濃度が高いものでは、どの程度の被験者が食べることができなくなるのか研究を行いました。 高濃度フラバノールを含むチョコレートを食べるのを拒否した被験者の割合は、80パーセント以上にもなりました。 チョコレートが健康に良いという発見は、夢の様な発見ではありますが、これは、あまり良い結果ではありません。

「チョコレートは素晴らしい食べ物ですが、それは人々が毎日消費するのに適した製品にはなっていません」

と、クイック・ウリベ氏は語っています。

健康増進のココアフラバノールが、商品棚に並ぶとすれば、おそらく、例えば粉末や錠剤、または食品サプリメントのようなものになる可能性があります。

チョコレート会社は加工プロセスだけでなく、健康効果の面でも特許を取得する準備を進めています。

マース社(Mars Inc.)は歯周病から癌に至るまでの多種多様な病気に対して、ココアフラバノールの効用を主張しています。


研究者たちは、資金を追う

しかし、複雑な組み合わせで存在する他の生物活性化合物と同様、潜在的に、健康的なフラバノールを含む食品は、たくさんあります。


ここで問題です。

チョコレート業界が、研究の資金援助をしなかった場合、公的資金で運営する機関の科学者が、それでもカカオ豆に興味があるのか否かです。

「我々は、業界の関与の影響を認識する必要があります」

と、科学研究の資金調達効果を研究しているアルバータ大学(University of Alberta)の法律教授、ティム・コールフィールド(Tim Caulfield)氏は言っています。

業界の関与により、研究の方向性が歪められているとを実証する証拠はたくさんあります。 求められる研究課題自体が変わることもあり、研究者は資金に従って行動します。


商業的な資金調達の1つの効果は、単一の栄養素に焦点をあてた場合です。

それは、シカゴのラッシュ大学医療センター(Rush University Medical Centre)のクリスティ・タンニー(Christy Tangney)氏が反対してきたアプローチです。 彼女はポリフェノール、ココアフラバノールが含まれる植物系化合物の幅広い分野を研究しています。

「問題は、複雑な化合物でも、それを構成する単体の要素に分解し、それら個別の要素だけを理解すれば、元の複雑な化合物全体の性質や振る舞いもすべて理解できるはずだとする考え方で研究に取り組むことです」

と、彼女は言っています。

「同時に食べる様々な食品の様々な構成要素の組み合わせで生じる効果でないことはわかっていますか?」

タンニー氏は、単一の化合物に照準を当てることにより、科学者は、全体的な効果を見落としている可能性があると述べています。


それでも、科学的な追求は進められ、カカオ豆の内部に健康の泉を見つけようとしています。

マース社(Mars Inc.)は、ココアフラバノールが心臓発作、脳卒中、および死亡リスクを軽減するかどうかを検証するため、官民パートナーシップを結び、ボストンのブリガム女性病院(Brigham and Women’s Hospital)と米国国立衛生研究所(U.S. National Institutes of Health)と協力しようとしています。 ランダム比較臨床試験では、18,000人の男女が、5年間、マース社(Mars Inc.)によって供給された高濃度フラバノールココアカプセルを試します。

「この規模では初めての、ココアフラバノールの食事臨床試験です」

「マース社(Mars Inc.)にとっても、公共のためにも、双方に刺激的な機会です」

と、クイック・ウリベ氏は語りました。



市販のチョコレートに、健康効果は、あまり期待できないということですよね。

かと言って、ショサイのヘルシーチョコレートが完全なものだとは思いません。

それでも、ちょっとは健康を考慮して製造されたものだと信じたいですね。

フラボノイド(フラバノール)値は、公表されていますから。

この数値が高いのか低いのかは、よくわかりませんが。

こうなると、もう宗教です(笑)。

「信じる者は、救われる?」

始めちゃいましたから、続けるしかないでしょう!


参照

チョコレートに認知症予防の効果はない? - スラッシュドット・ジャパン

Beware Headlines Saying Chocolate Is Good For You - Slashdot

Chocolate health myth dissolves - CBC News

カカオ - Wikipedia

フラバン-3-オール(フラバノール) - Wikipedia

アルツハイマー型認知症 - Wikipedia

The New York Times

ココアは次世代の特効薬 ハーバード大学医学部のクナインディアン研究

Columbia University

コロンビア大学 - Wikipedia

Alzheimer's Disease Research Centers

Scott A. Small, M.D

Mars

マース (企業) - Wikipedia

University of Alberta

Timothy Caulfield

Rush University Medical Centre

Brigham and Women's Hospital

National Institutes of Health