毎秒、26000杯を超えるコーヒーが、世界中の人々に飲まれています。

コーヒーを飲む時、気がかりなのは味だけかもしれませんが、血液中にカフェインを提供する働きもあります。 カフェインは世界で最も広く消費される精神活性物質です。

How Caffeine Evolved to Help Plants Survive and Help People Wake Up

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ロブスタコーヒーノキ(Coffea canephora)は、ロブスタコーヒーとして知られ、ラオスで乾燥されています。 科学者たちは、進化の過程で、どのようにカフェインを生産する能力を獲得してきたかを研究するために、ゲノム配列を研究しています。


私たちの多くは、お茶からカフェインを摂取ます。南米のマテ茶などにもカフェインが含まれています。 カカオもカフェインを生産します。チョコレートを食べると、穏やかなカフェイン吸収が得られます。

カフェインは麻薬かもしれませんが、暗黒街の化学実験室からできた製品ではありません。 それは植物の何百万年もの進化の結果、生み出されたものなのです。 私達は、様々な場面でカフェインを利用しているにもかかわらず、科学者たちは、植物がカフェインを作り出す理由をほとんど理解できていません。


しかし、新しい研究が、その状況を変えつつあります。 科学者の国際チームは、 コーヒー豆を生産する代表的な品種、ロブスタコーヒーノキ(Coffea canephora)のゲノム配列を研究しています。 その遺伝子を解析することで、科学者たちは、コーヒーがカフェインを作り出すために必要な生化学的なメカニズムを明らかにすることができました。

サイエンス誌に公開された新しい研究では、植物は、私たち動物の行動を間接的に制御する方法として、カフェインを作り出すように進化してきたとして、この分野の研究に光を投げかけています。


カフェインは、まず、キサントシンと呼ばれる前駆体化合物として、コーヒーの木に作り出されます。 コーヒーの木は、さらにキサントシンから、原子鎖を切り離す酵素を作り出します。 第二の酵素が、他のスポットに原子塊を追加します。 コーヒーの木は、2つの原子塊を追加するため、2つの酵素を使用しています。 このプロセスが完了すると、キサントシンはカフェインに変わります。

プロセスは非常に複雑に見えるかもしれませんが、この新しいコーヒーゲノムの研究から、それがどのように進化してきたかを詳しく知ることが可能です。


カフェインを作り出す酵素は、N-メチルトランスフェラーゼと呼ばれる酵素群に属するものです。 これは全ての植物に存在し、多様な化合物を構成します。 これらの分子の多くは、植物の敵に対し、武器として役立ちます。 時には、これらの武器が、私たち生物に貴重な物質であることがわかっています。 例えば、柳で最初に発見されたサリチル酸は、アスピリンの基礎となりました。


酵素の働きが変化してN-メチルトランスフェラーゼの遺伝子が突然変異したことにより、カフェインへの進化が始まりました。 その後、植物が誤って新しいコピーを作成し、この変異遺伝子を複製します。 これらのコピーは、その後、さらに他の形態へと変異しました。

「これらはすべて、キサントシン化合物で悪ふざけを始めた共通の祖先を持つ酵素の子孫だ」と研究者は述べています。


科学者たちはまた、N-メチルトランスフェラーゼにより、紅茶、カカオのような、他の植物でも、カフェインが同様の過程を辿って作られたと判断していました。 しかし、コーヒーのゲノム配列研究から、異なる種の遺伝子をより詳細に比較することができるようになりました。 その結果、カカオでは、カフェインの製造酵素は、コーヒーと同じ祖先から進化したものではないことが発見されました。

言い換えると、コーヒーの木、カカオの木は同じ結論に到達するために、異なる進化経路を辿ったことになります。 生物学者達は、この種の進化を「収斂進化」と呼びます。


例えば、鳥は、150万年以上前、指の骨を融合して翼に進化し、羽を獲得するに至っています。 一方で、コウモリは、約60万年前、指を伸ばして膜に覆われた翼へと進化しました。

収斂進化で、複数回、同じ形質を形成する場合、非常に強力で有用な適応進化ということになります。 コーヒーの木を用いた実験では、進化の過程で、頻繁にカフェインが生成されている理由を紐解く手がかりになります。


コーヒーの葉が死に、地面に落ちると、カフェインが土壌を汚染し、他の植物が発芽できない状態になります。 コーヒーは、このように他の種を打ち負かすためにカフェインを使用しています。

コーヒーの木は、昆虫を追い払うためにもカフェインを使用しています。 カフェインがなければ、葉や豆は、昆虫に食い荒らされてしまいます。 高濃度のカフェインは、昆虫に対して毒性を発揮します。 その結果、昆虫は味覚受容体を進化させ、カフェインの摂取を避けることが可能になっています。


一方で、コーヒーや他の植物でも、カフェイン濃度を低め、その蜜を開放し、植物に利益をもたらしているとも思われます。

植物は、昆虫や動物に花粉を拡散してもらうため、蜜を作ります。 カフェイン入りの蜜を餌とすると、昆虫にとっても非常に有益です。 昆虫は、花の香りを覚えている可能性が、格段に高まるからです。 カフェインにより、昆虫の記憶が強化され、花を再訪し、さらに花粉が拡散されていく可能性が高まるのです。


「1つの分子が、量を調節することにより、飴や薬、そして反対に毒にもなるという非常に優れた事実です」と生物学者は語っています。


カフェインは、高濃度では毒となりますが、低濃度では、脳を活性化させます。 これは、カフェインを作り出す植物と私達生物が持つ生物学の一致した事実なのかもしれません。

「カフェインは、私たちのすべてを操作している」と研究者は述べています(笑)。


カフェインは体に害を及ぼすという変な先入観がありましたが、見方を改めました。

生物が長い年月を経て獲得した究極の知恵なのです!

カフェインって、素晴らしい。


参照

How Caffeine Evolved to Help Plants Survive and Help People Wake Up - New York Times

カフェイン - Wikipedia

キサントシン - Wikipedia

ヒスタミン-N-メチルトランスフェラーゼ - Wikipedia

サリチル酸 - Wikipedia

アスピリン - Good luck & Good bye

収斂進化 - Wikipedia

味覚受容体 - 脳科学辞典